人は何度でも立ち上がれる──白くま便が見てきた“再起の現場”
軽貨物の現場には、荷物だけでなく“人生の荷物”を抱えた人たちがいます。その荷物をもう一度背負い直し、静かに立ち上がっていく姿を、私は何度も見てきました。
人は何度でも立ち上がれる
〜白くま便が見てきた“人生の再構築”という仕事〜
仕事とは何のためにあるのか。
私はまず、自分の生活や家族を守るためだと思っています。
しかし、もう一歩踏み込むと、お金だけではない“仕事の本質”が見えてくると感じています。仕事とは、誰かの代わりになり、誰かの役に立つこと。
給料は、その役に立ったことが巡り巡って返ってきた“謝礼”だと思っています。
私の会社のスタッフは、皆それぞれに個性豊かな方々です。
ただ、ひとつだけ共通していることがあります。
それは、社会という荒波にもまれ、まっすぐには歩けなかった方々だということです。
バブル崩壊の就職氷河期を経験し辿り着いた方、事業に失敗し辿り着いた方、リストラや数度の倒産を経験し辿り着いた方。
順風満帆に歩んできた方は、私も含めて一人もいません。
皆、それぞれの場所で藻掻き、苦しみ、そして今も藻掻きながら働いています。
白くまストックは、事業再構築補助金に採択いただき、新しい事業に挑んでいます。
一方で、白くま便の経営哲学は、人生に躓いた方々が自信と誇りを取り戻す“人生の再構築”を会社の骨格としています。
会社が新しい挑戦をするように、人もまた、人生の途中で何度でも立ち上がることができる。
私は、そのための場所として白くま便を続けています。
■ なぜ軽運送業界では人が定着しないのか
軽運送業界は、フリーランスの中高年が中心です。
本来であれば、すでに社会経験を積んだ“成熟した大人”であり、会社が一から教育する対象ではない、という前提があります。
そのため、この業界には
- 管理はするが、教育はしない
- 枠はあるが、育てる文化が無い
- 失敗しても誰も手を差し伸べない
- 成長しても誰も評価しない
という構造が根付いています。
これは誰かが悪いわけではなく、業界の成り立ちそのものが生み出した自然な結果です。
しかしその結果、多くの方が自信を失い、「自分はダメなのではないか」と思い込んで辞めていきます。
私は、この構造こそが軽運送業界の最大の影だと感じています。
■ 白くま便が見てきた“人生の再構築”
そんな中、ある方が白くま便の門を叩きました。
深刻な病気を抱え、前の会社では案件も売上も安定せず、多額の借金と古い車だけが残っていました。
病気の影響で体調も悪く、体臭が強くなってしまい、顧客からのクレームも絶えなかったと聞きました。
国民健康保険も数年以上滞納し、治療を受けることすらできない状態。
車のメンテナンスもできず、故障が続き、生活は完全に行き詰まっていました。
私はまず、生活を立て直すための資金と滞納していた保険料を肩代わりし、治療を再開できるようにしました。
ただ、食品配送を中心とする白くま便では、体臭の問題はどうしても避けられません。
そこで、冷凍倉庫の仕事を中心に担当してもらい、まずは体調の回復を最優先にしました。
1年後、治療が進み、病気も落ち着き、体調も安定してきました。
そのタイミングで、冷凍軽貨物車両を新車で用意し、リースとして提供しました。
今では生活も病気も安定し、仕事にも誇りを持って取り組んでくれています。
この方の再起は、白くま便が大切にしている“人生の再構築”そのものだと感じています。
■ 最後に
事業も人生も、一度つまずいたから終わりではありません。
人は何度でも立ち上がれる。
そして、立ち上がるためには「教育」ではなく「寄り添うこと」が必要な人もいます。
私は、その続きを一緒に歩ける会社でありたいと思っています。
コラム3で書いたように、配送の現場は過酷です。
しかし、その過酷な現場で「ありがとう」と言われ、誰かの役に立っていると実感することこそが、人生を再構築する一番の薬になると、私は信じています。
人は立ち上がるだけでは終わりません。
立ち上がったその先で、自分をどう受け止め直し、どのように“自尊心”を取り戻していくのか。
次のコラムでは、その静かな回復の過程についてお話しします。
株式会社ストレート
代表取締役 牛沢昭宣
2026年5月1日