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02 催事編

百貨店・駅ナカ催事が赤字になる理由──初出店が陥る“残酷な算数”

補助金には、制度の奥に潜む“構造の重さ”がありました。

そして、私が17年以上見てきた催事の現場にも、

努力だけでは越えられない、もう一つの「構造」があります。

百貨店・駅ナカ催事、成功の裏にある「厳しい現実」

〜搬入現場のプロが見た、初出店が陥る『残酷な算数』と『売り場の相性』〜

「この売り場は、過去に日商〇〇万円売れた実績があります」 百貨店バイヤーから提示されるその輝かしい数字。 それは決して嘘ではありません。 しかし同時に “売り場が持つポテンシャル(最大値)” であることを忘れてはいけません。

白くま便として17年以上、あらゆる催事現場の搬入・搬出を担ってきた私の目には、 その期待と現実のギャップに苦しむ事業者の姿が映ります。

なぜ、一度きりで姿を消してしまう店が後を絶たないのか。 そこには、味や商品力とは別の次元にある、冷徹な現実があります。 それは催事に限らず、あらゆる売り場に存在する “消費の構造” が、 季節や社会情勢といった外部環境の影響を受けて、 催事ではとりわけ色濃く表れるからです。

1.「最大値」を自社の目標にするリスク

百貨店でも駅ナカでも、売り場は違っても、 バイヤーという立場には共通する役割があります。 それは、売り場の価値を正しく伝え、 過去の実績をもとにポテンシャルを示すことです。

百貨店バイヤーが提示する数字は、売り場の価値を正しく伝えるための“最大値”であり、 その背景には長年の経験と実績に基づく誠実な判断があります。 バイヤーは決して誇張しているわけではなく、 売り場が本来持つポテンシャルを丁寧に示してくれているのです。

ただし、現場を17年以上見てきた立場から言えば、 その“最大値”は 固定ファンを持つ老舗や人気店が積み上げてきた結果であり、 初出店の事業者が準備なく到達できるものではありません。

また、売り場には“最大値”とは別に、 初出店や単発出店も含めた“平均値” も存在します。

仮に平均値の説明がなかったとしても、 それは隠しているのではなく、 売り場の価値を伝えるという役割上、 まず最大値を基準に説明することが自然だからです。

だからこそ、事業者側は “最大値”と“平均値”の両方を理解し、 自社の立ち位置を冷静に見極める必要があります。

このギャップこそが、多くの初出店者がつまずく最初のポイントです。

2.逃げ場のない「固定費」が利益を削る

百貨店や駅ナカの商売には、売上に関係なく積み上がるコストがあります。

  • 歩率(マージン):売上の約20%前後
  • 人件費:最低2名、日給平均3万円
  • 配送費:期間中毎日1万円前後(往復)

これらを積み上げれば、 売上が 目標とする損益分岐点を超えなかったとき、 手元に残るのは利益ではなく、むしろ “持ち出し” になることも珍しくありません。

さらに、これが地方から首都圏への『遠征』となれば、算数はもっと残酷になります。1週間分の宿泊費、往復の交通費、滞在中の外食代。これだけで利益の数十万円が吹き飛びます。『売上は立ったけれど、出張費を引いたら手元には疲労しか残らなかった』という話は、決して笑い話ではありません。

これが催事の「残酷な算数」です。

3.「場所」と「商品」のミスマッチを直視する

百貨店と一括りにしても、売れる商品はまったく違います。

●伝統百貨店

顧客層は成熟しており、本物志向。 安定した品質の和菓子や定番品が強い。

●新鋭百貨店・ファッションビル

渋谷など若者が集まる場所では、 視覚的インパクトやトレンド性が必須。

自社の商品が「誰に向けたものなのか」。 ここを読み違えると、在庫の山を抱えることになります。

4.「駅ナカ」の魔力と落とし穴

乗降客数という数字も、実は売上とは直結しない “落とし穴” です。

● ターミナル駅(東京・新宿)

乗降客数は日本最大級ですが、求められるのは「手早く買えるお土産」が中心です。 その一方で、取引先への手土産などビジネス用途の贈答需要も一定数あります。

● 終着駅

夕方以降は「今夜のおかず」を求める層が中心ですが、 ケーキ1個など“自分へのご褒美”を買う利用者も少なくありません。 ただし、いずれも少量購入が多く、客単価は上がりにくい傾向があります。

人が多い場所には、必ずあなたより強いライバルがいる。 「人が多い=売れる」ではなく、 “その人が何を求めて歩いているか”がすべてです。

5.私の「役割」は、あなたの「二度目」をつくること

催事の厳しさをお伝えしてきましたが、私たちの役割は、そのハードルを物理的に下げることです。

「東京に、信頼できる『身内』を一人作る」

特に遠方の事業者さんにとって、東京の催事は孤独な戦いです。在庫の補充はどうするか? 余ったらどう持ち帰るか? そこで私たちの『白くまストック』を、皆さんの東京前線基地として使ってほしいのです。 まとめて送って、必要な分だけ会場へ。この『拠点』があるだけで、社長が1週間泊まり込む必要も、往復の冷凍運賃に怯える必要もなくなります。」

もし催事をPR目的で使うなら、それも戦略です。 しかし、商売として利益を出したいなら、物流を味方につける必要があります。

毎日1万円かけて当日分を運ぶのではなく、 急速冷凍でストックを作り、2〜3日に1回などまとめて配送し、必要な分だけ解凍する。

  • 配送コストの最適化
  • 廃棄ゼロ
  • 売れ行きに合わせた柔軟な供給

これが「負けない催事」の基本です。

搬出作業の際、肩を落として商品を片付ける店主を何度も見てきました。 そんな姿を、もう見たくありません。

【最後に伝えたいこと】

私は皆さんの挑戦を止めたいわけではありません。 むしろ、その挑戦を “一度きりの思い出” で終わらせてほしくないのです。

二度、三度と続き、 いつか「老舗」と呼ばれる日まで商売を続けてほしい。

そのためにまず必要なのは、 夢ではなく “算数” です。

催事を検討されているなら、 ぜひ私たちに現場の現実を相談してください。

出口(配送)から逆算した、負けない戦略をご提案します。

 

【総括】

催事は「夢」で挑むと失敗し、「算数」で挑むと続けられる。

その現実を知ることが、二度目につながる唯一の道です。

 

催事の現場には、努力では埋まらない“構造の壁”があります。

実は、軽貨物の世界も同じです。

 

17年間、現場で見てきた「稼げない理由」と「それでも続ける人たちの強さ」。

次のコラムでは、そのリアルをお話しします。

株式会社ストレート
代表取締役 牛沢昭宣
2026年4月20日

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